【 クーデター1 】
- 董卓の専横に反董卓連合軍の形成。短い間に起こったこの政変にぐずぐずして乗り遅れることは孫堅にとって最大のチャンスをみすみす逃してしまうことになる。そこで孫堅は強行手段に打って出る。荊州刺史王叡の殺害である。元々,王叡と孫堅はうまく行ってなかったらしい。荊州刺史にしてみれば、荊州の南部に越権行為まで行う軍事的脅威として孫堅が居座っているのだからまさに獅子心中の虫。孫堅にしてみれば王叡は自分を軽視する上官であり眼の上のたんこぶである。
- 王叡は反董卓連合への参加というスタンスは取っていた。しかし本気で董卓を討つのではなくこれを荊州の自分の権力強化のために利用しようとしていた節がある。まず董卓を討つのではなく武陵太守の曹寅(そういん)を討つべしと言い出したのである。つまり武陵・桂陽・零陵・長沙といった荊州南部は刺史である王叡の支配圏外であり、王叡はこの機会に荊州南部の制圧に乗り出そうとしていたのではないだろうか?
- それに対する孫堅の行動は素早かった。曹寅は孫堅に対して王叡討つべしという檄文を偽造して孫堅に王叡を討ってもらうように画策したのであるが,おそらく孫堅はこの檄文が偽造であることは見抜いていたはずだ。それでも孫堅はこの檄文を利用して王叡を殺害する道を選んだのである。この時のクーデターの様子が裴松之の注の中にある。
- 孫堅は檄文を受け取るとすぐさま軍を王叡に差し向けた。しかしどうやら孫堅はこれを王叡に対する兵士たちの暴動に見せかけたようである。王叡は城に押し寄せた兵たちに対して『要求は何か?』と言っている。もし自分を討ちに来たと分かっていればこんな悠長なことは言わない。兵士たちは『恩賞が少なすぎて衣服すら作れない。資金を分けてほしい』と答える。王叡は『出し惜しみなどしない。』と言って倉庫を開いた。王叡が城郭まで進んだ兵士たちの中に孫堅を見つけた時の驚きようと言ったらなかった。ここからの二人の会話はかっこ良すぎるのでそのまま載せます^^;。(多少脚本つき^^;)
- 王叡『な,なぜ孫堅殿がここにいるのだぁぁ!!』
- 孫堅『アンタを殺せっていう勅書が出ているのさ』
- 王叡『わ,わしになんの罪があるというのだ!!』
- 孫堅『情勢が読めなかった罪だよ(フッ)』
- 王叡『な,なにぃぃぃ!!』バサッ!!(王叡,孫堅に斬られる)
- 実は王叡はこの後,金を飲んで自害しているのであるが^^;。ちょっと脚本してみました^^;。しかし・・・孫堅かっこ良すぎ^^;。まるで漫画の世界だ。北斗の拳の世界だ。なんで演義はこんなにおいしい場面を書いてないのであろうか。おそらく演義では、孫堅を漢王朝の行く末を憂う忠臣として描いているので、自分の上官を殺害するような野心のある人物としては描きたくなかったのではないか?と思う。しかしこの時点で孫堅は完全に自分の勢力拡大のために動いているのである。 ▲▼